紛争になり難い雇止め方法とは?

Labor Issues

1. 第1-「雇止め」とは

会社は,労働者が求める柔軟な雇用条件にも対応出来ることから,労働者と有期労働契約を締結することが多くあります。

この点,労働基準法第14条第1項は,有期労働契約の期間について,高度専門職及び満60歳以上の労働者を除き,原則3年を越えて締結できないと規定しています。本来,民法上の原則からすると,有期労働契約の労働者に対しては,期間満了により当然に終了することとなります。

しかし,期間満了による契約の終了(いわゆる「雇止め」)が全ての場合に無制限に認められるわけではありません。

【労働契約法第19条は】
(1) 過去に契約更新を繰り返し行われた有期労働契約であって,雇止めが,実質的には期限の定めがない労働契約における解雇と同視できる場合
(2) 労働者において,有期労働契約の契約期間満了時に,契約更新がされるとの期待を抱くのが合理的といえる場合
について,期間満了による契約の終了が無制限に認められるわけではなく,期間満了に関する「雇止め」が制限されると規定されています。

(1),(2)に該当するか否かは,具体的に,
①業務の客観的内容,②契約上の地位の性,③当事者の主観的態様,④更新の手続・実態,⑤他の労働者の更新状況等の具体的事情を判断要素として,契約期間の満了により当然に契約関係が終了するか,契約関係の終了に制限を加えられるかが判断することになります。

2. 第2-「雇止め」が認められる場合

労働契約法第19条は,第1(1),(2)の有期労働契約に該当する場合,「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないときは,使用者は,従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。」と規定しています。すなわち,会社が,「雇止め」をする場合,「雇止め」に関する客観的合理的理由,社会的相当性が認められる必要があり,認められない限り,同一の労働条件で契約が継続されることとなります。

会社としては,有期労働契約を締結していた従業員に対し,期間満了による「雇止め」を告げたにもかかわらず,「雇止め」に不服がある従業員から,「雇止め」の効力を争われ,労働契約上の地位の確認を求める裁判を求められる可能性があります。訴訟等の紛争になると,他の労働者に対する波及効果が生じるだけでなく,会社にとっても,新たな人材確保の見通し,金銭的見通しが立てられないことから,経営に大きな影響を与えることとなります。

3. 第3-「雇止め」に関して紛争を予防する方法

そこで,有期雇用契約の従業員を雇用する場合,「雇止め」の紛争を予防する方法として,以下の方法が考えられます。

1 会社は,有期労働契約を締結するにあたり,契約書に「本契約終了後は更新しない」旨を明記する,「更新限度を〇年とし,以後の更新はしない」旨を明記することをお勧めします。
このような条項を明記することによって,①契約期間の満了をもって,雇用契約を終了させる合意が成立したと主張すること,②「雇止め」の客観的合理的理由,社会的相当性を基礎づける事実として主張することが可能となります。また,従業員としても,契約更新しない事実を契約書に明記されることによって,自らの契約期間,終了時期を把握出来ることから,「雇止め」を争う可能性自体が低くなります。

2 第2で記載するように,会社は,「雇止め」に関する客観的合理的理由,社会的相当性を主張する必要が生じます。例えば,成績不良,仕事上のミスや非違行為の内容,程度,雇止めに至るまでの交渉経緯を主張することとなります。
裁判所は,一つずつの事実関係について,立証資料の存在を求めることとなります。そのため,会社としては,非違行為等があった場合,始末書等の書面,他の従業員の証言等を証拠として残すことをお勧めします。

また,裁判所は,「雇止め」に至るまで,どのような話し合いが行われたのかという手続面も,判断要素としています。そのため,会社と従業員において話し合いを行ったときは,いつ,どのような話し合いを行ったのかを書面に残すことをお勧めします。
このような証拠書類の存在によって,裁判になった場合だけでなく,従業員が「雇止め」の有効性を争ってきた場合の交渉段階において,証拠に基づいた緻密な反論を行うことが可能となりますので,裁判手続まで進む可能性も低くなります。

以上のように,「雇止め」を行うにあたっても,契約書の作成,書面の作成等の日々の労務管理が重要となります。どのような契約書を作成し,どのような場合に,どのような書面を作成すべきかについて,気軽に相談出来る顧問弁護士の存在が重要となります。

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