懲戒解雇の有効性、未払賃金等(バックペイ)及び損害賠償の請求に対して、請求額の3分の1未満の解決金で終結できた事例

相談企業の業種・規模

業種:不動産業
規模:従業員100~200名
相談者:経営者様

相談経緯・依頼前の状況

不動産営業の補佐業務を担当しており、外回り等の営業をメインにしていない従業員が、昼食に出た後夕方まで会社に戻って来ず、社内に在席している時間が極端に短いということが続きました。そのため、不審に思った従業員が、社長と相談の上、当該従業員の行動を2日間調査したところ、業務時間中に一時帰宅したり、家族と買い物に出かけている等の事実が発覚しました。そこで、このような無断外出をしている従業員を解雇したいが、どのように進めるべきかということで、当事務所にご相談をいただきました。

解決までの流れ

2日の無断外出の証拠のみで解雇することは困難な事案でしたので、まず初動対応として、当該従業員に対するヒアリングを実施しました。ヒアリング時には無断外出の証拠を伏せた上で、当該従業員のカレンダーに外出の予定が記載された日を中心に、どこに、どのような業務のために外出していたのか等を詳細にヒアリングし、記憶が曖昧な部分については、後日整理した上で、詳細な業務報告書を提出させることにしました。
また、業務時間中に、自家用車でプライベートの用事を済ませたり、一次帰宅するようなことがなかったかどうかについて、当該従業員の認識を明確に述べさせ(もちろん「そのようなことをしたことは一度もありません。」と回答しました)、当該発言内容も全て録音しました。
後日、提出された業務報告書記載の日時と無断外出をしていた日時を照合した上で、2回目のヒアリングを実施しました(2回目のヒアリングも録音)。
この際に、無断外出の証拠を提示した上で、虚偽の報告を行ったことについて弁明の機会を与えましたが、曖昧な回答を二転三転させ、結局、合理的な説明がなされませんでした。
また、これと並行して、当該従業員のその他の不正行為がないかの調査も実施していたところ、不動産業法に関連して法令違反行為に該当する事実も発覚しました。
そこで、これら無断外出、虚偽の業務報告、法令違反該当行為を理由に、懲戒処分として降格処分及びこれに伴う減給を行いました。
また、当該従業員はグループ会社へ出向していましたが、当該グループ会社が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたため、当該グループ会社を一斉休業とし、同社の全従業員を別のグループ会社に出向させることとなりました。
そのため、併せて当該従業員も出向させることとしましたが、不動産業法に関連する法令違反行為が発覚した直後であったため、不動産事業ではなく、その他の事業(管理物件の清掃事業等)を行っているグループ会社へ出向させることとしました。
当該出向命令に対し、当該従業員は、不動産関連以外の仕事はしたくないという理由のみで出向命令を不当に拒否し、無断欠勤を開始しました。
前回の懲戒処分からすぐ後に、不合理な理由による無断欠勤を継続したため、就業規則の懲戒解雇事由に基づき、当該従業員を懲戒解雇しました。
当該懲戒解雇を受け、当該従業員も弁護士に委任し、仮の地位を定める仮処分を申し立て、従業員の地位確認を求めるとともに、懲戒解雇以降の賃金・賞与の請求をしてきました。当該手続きの中で、1回目の降格処分、その後の出向命令、懲戒解雇処分のそれぞれの有効性が争われましたが、担当裁判官から、当該従業員の問題となる言動の証拠が揃っていることから、いずれの処分の有効性も認められる可能性がある旨の心証が開示されたため、当該従業員は、再就職の上、仮処分の申立てを取り下げました。
その後の訴訟の中で、最終的に、労働者の地位の不存在を確定させるとともに、請求金額の3分の1未満の少額の解決金で、本事案を終結させることができました。

解決のポイント

まずは初動対応で、弁護士同席のもと、従業員の問題行動を証拠化し、かつ、一発の懲戒解雇という軽率な行動を控え、段階的に相当な懲戒処分を選択しました。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う一斉休業の機会に、他の従業員と同じタイミングで別会社に出向させる適切な準備を整えました。
その上で、さらなる就業規則違反の言動を証拠化し、懲戒解雇の方法を取らざるを得ない状況になった段階で、最終の懲戒解雇処分を実施しました。
このように、将来予想される裁判を見据えた上で勝てる証拠を集めたこと、また適切なタイミングで適切な準備を整え、適切な懲戒処分や出向命令を選択したことが、前述の勝訴的和解に至ることができたポイントになりました。

解決するまでに要した期間

無断外出の発覚から約1年

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