部署移動に伴い従業員に不満が生じ、当該従業員が加入した労働組合との間で紛争が生じた事例

相談企業の業種・規模

業種:ビルメンテナンス業
規模:全国展開しており、従業員数600名
相談者:経営者

相談経緯・依頼前の状況

会社の従業員が労働組合に加入し、その労働組合から団体交渉の申入れがなされました。
団体交渉は約1年間にわたりましたが、社長自身初めての労働組合対応であったということもあり、解決の糸口が掴めないままであったところ、労働組合から、労働委員会に対して不当労働行為救済申立てがなされました。
労働組合は、会社は新しい部署を組織したものの、この部署は当該従業員のみの一人部署となっており、業務分野も具体的に決定していなかった、及び従業員が労働組合に加入したことにより、窓際部署のようなこの部署に異動させられたと主張しました。
会社としては、経営改革・組織再編の一環の中で、当該組合員に部署を移動していただいたにすぎないと主張しました。
そのため、会社が、当該従業員が労働組合に加入したことによって、当該従業員に不利益となる部署異動を行ったものであるかどうかが争点になっていました。

解決までの流れ

ご依頼後、社長や担当者に対してヒアリングを実施し、労働組合の主張に対する反論を行いました。
労働委員会において、当方は、会社の沿革から、近年組織変革が必要となったこと、組織変革の目的を主張し、部署異動の理由を背景事情から主張立証していきました。しばらくは、お互いの主張と反論が平行線となりましたが、証人尋問などを実施し、労働委員会から、今回は、不当労働行為にあたらないだろうとの心証開示(不当労働行為に該当するか否かの判断を実際に行うとしたらどのような判断になるのかという想定を伝えること)がなされました。
その後、話合いによる解決が図られ、最終的には、一定の解決金を払った上で、円満に退社をしていただきました。

解決のポイント

弁護士が就任しなかった場合は、紛争を背景から分析することができず、労働組合の主張にただ反論を行い、水掛け論になっていた可能性があります。加えて、見方によっては不利となりうる事情もありましたので、相手の主張によっては、意図せず会社に不利な反論を行ってしまう可能性がありました。不当労働行為に該当すると認められた場合には、社内に、不当労働行為を行ったこと及びこれを謝罪することを社内に掲示しなければならず、社員のモチベーションを低下させるおそれがあり、業務に支障が出る可能性がありました。
労働組合の主張を分析した上で、会社に有利な反論を行いつつ、かつ会社に不利となりうる主張を行わないという戦略的な主張を行うことができます。また、紛争終結に向けた話合いにおいては、目の前の紛争を解決することのみならず、他の従業員への影響を最小限にすることをも目的として活動することができると考えています。

解決するまでに要した期間

依頼を受けたから1年2ヶ月

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