マイカー通勤と会社が抱える労務リスクについて、事前に予防ができた事例

相談企業の業種・規模

業種:人材派遣業 (顧問先)
規模:従業員数 100~500名
相談者:経営者

相談経緯・依頼前の状況

クライアント様において従業員による自家用車の物損事故が発生していました。
当該事故は第三者を巻き込んだトラブルに発展せずに済んだものの、今後、第三者に損害を与えてしまった際に、会社の責任などはどうなるのかについてクライアント様がご懸念されている状況でした。
当時、クライアント様では就業規則などにマイカー通勤に関する明文記載はなく、申請があった場合には、マイカー通勤を許可しているが、許可なくマイカー通勤をしている従業員が一部いる現状でした。そのため、マイカー通勤に関するルールの策定をご相談いただきました。

解決までの流れ

会社の通勤時若しくは業務中に交通事故が起きた場合には、民法上の使用者責任や自賠責法上の運行供用者責任等を従業員と共に会社が負う可能性があります。そこで、クライアント様がこれらの責任を負わないルール作り、仮に責任を負ったとしてもクライアント様が損害賠償を負わないためのルール作りを行いました。

解決のポイント

具体的には下記の4つの項目に分けてルール作りを行いました。
①マイカー通勤は原則禁止だが、例外的に許可を得た場合にはマイカー通勤を認めること。
②業務に自家用車を使用することを禁止すること。
③任意保険への加入を義務付けること、対加入する人保険には対人保険無制限等の条件を付け、定期的に任意保険の提出を義務付けること。
④許可申請をする際には、必要となる書類を提出すること。
その上で、マイカー通勤規程を就業規則などの一部にすることをご提案させていただきました。
仮に上記のような対策を怠り、交通事故の相手方に重度の後遺障害等が発生してしまった場合には、億単位での損害賠償責任を負う可能性もあります。
今回のご依頼は、顧問先であるクライアント様から別件のご相談を受けている最中に、マイカー通勤についてのご懸念点についてもご相談をいただいたことにより発生したものです。
弊所では、顧問先、クライアント様とのコミュニケーションを密にとり、問題が起こる前の予防にも注力しています。

解決するまでに要した期間

1、2週間程度(ルール施行まで)

 

執筆者:弁護士法人フォーカスクライド

中小企業の企業法務を中心とした真のリーガルサービスを提供するべく、2016年7月1日に代表弁護士により設立。
「何かあった時だけの弁護士」(守りだけの弁護士)ではなく、「経営パートナーとしての弁護士」(攻めの弁護士)として、予防法務のみならず、戦略法務に注力している。
また、当法人の名称に冠した「フォーカスクライド」とは、「クライアント・デマンド(クライアントの本音や真のニーズ)に常にフォーカスする(焦点を合わせる)。」という意味であり、弁護士が常にクライアントの目線で考え、行動し、クライアントの本音やニーズに焦点を合わせ続けることを意識して、真のリーガルサービスを提供している。
なお、現在では、資産税に特化した税理士法人フォーカスクライドと、M&A及び人事コンサルティングに特化した株式会社FCDアドバイザリーとともに、グループ経営を行っている。

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