ローパフォーマーに対して、早期の自主退職を引き出した事例

相談企業の業種・規模

業種:ホテルの事業・飲食店を経営
規模:従業員100~200名
相談者:経営者様

相談経緯・依頼前の状況

ある飲食店の管理を任せていた支配人が、やるべきことをやらずに、言い訳ばかりを繰り返すいわゆる「ローパフォーマー」でした。
また、社長が、同支配人の業務怠慢を指摘した際も、飲食店の立地や景気等の変えることができない環境のせいにして、一向に改善しようとしなかったため、嫌気がさした社長から、同支配人を辞めさせたいということで、当事務所にご相談をいただきました。

解決までの流れ

本件事案は、業務怠慢の実態等について客観的証拠がなく、仮に社長の言い分を全て立証できたとしても、それだけでは解雇事由が認められない事案でした。
そこで、再度、社長の意向を確認したところ、「どうしても今すぐ辞めてもらいたい」という意向ではなく、「やるべきことをやってくれるのであれば頑張ってもらいたい。ただ今のまま改善する気がないのであれば辞めてもらいたい」という意向でした。
そこで、この意向を踏まえた上で、次は支配人と面談することにしました。社長と支配人だけで話し合うと冷静に話し合われないことが想定されたため、同飲食店の経営状況のヒアリングということで、顧問弁護士による面談であることの了承を得た上で進めました。
この面談の中では、退職勧奨をすることなく、淡々と経営状況をヒアリングし、これまで支配人が行ってきた経営改善施策を聞き出しました。
しかし、説明された改善内容を聞くと、明らかにやるべきことがされていない状態でした。
この当時の支配人の話し方からして、他人から指摘され改善を試みるということに相当なストレスを感じるタイプの方でしたので、業務指導を徹底的に繰り返せば、自ら自主退職を申し出てくることが想定されました。
そこで、支配人の説明内容に対し、全ての改善点を逐一指摘しました。そして、次回面談を設定し、それまでに当該改善点を実行することを明確に指示し、支配人にも了承させました。
なお、この際に、後日違法な退職勧奨をされたという主張をされることを避けるため、社長としては「やるべきことをやってくれるのであれば頑張って欲しい。」という意向を有していること(会社としては退職してもらいたいという意向を有していないこと)をあえて説明し、録音に残しました。
2回目の面談において報告を受けましたが、案の定、取り決めた改善事項をほとんど実行することができていなかったため、与えられた本来の仕事が不十分であること、支配人自身に原因があること等を、支配人に認識して頂けるようにお伝えしました。
すると、支配人の方から、自分には役不足のため退職したいとの申し出がなされ、労使紛争に発展することなく、円満に退職していただくことができました。

解決のポイント

ローパフォーマーに対して、言い訳ができないように徹底的に指導を繰り返し、改善内容を本人に自ら約束させ、それにもかかわらずできなかったということを認識させたことが効果的でした。
また、2回目の面談の際には、弁護士であるからこそ、パワハラや違法な退職勧奨にならない伝え方を熟知しており、本人に役不足を自覚させ、自ら退職を申し出る結果を引き出すことができました。

解決するまでに要した期間

1か月以内

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佐藤 康行 弁護士法人フォーカスクライド 代表弁護士執筆者:佐藤 康行

弁護士法人フォーカスクライド 代表弁護士。
2011年に弁護士登録以降、中小企業の予防法務・戦略法務に日々注力し、多数の顧問先企業を持つ。
中でも、人事労務(使用者側)、M&A支援を中心としており、労務問題については’’法廷闘争に発展する前に早期に解決する’’こと、M&Aにおいては’’M&A後の支援も見据えたトータルサポート’’をそれぞれ意識して、’’経営者目線での提案型’’のリーガルサービスを日々提供している。

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