従業員の器物損壊がクライアントの営業先にも損害を生じさせたが、営業先へ支払った全額に近い金額を従業員から回収できた事例

相談企業の業種・規模

業種:ポスティング業
規模:1~10名 4000万円
相談者:経営者

相談経緯・依頼前の状況

ポスティング業を経営されているクライアントにおいて、従業員が配布する予定だった配布物が廃棄されているのを、配布を依頼した企業様が発見。クライアントに対して、損害賠償約200万円を請求され、弊所にご相談をいただきました。

解決までの流れ

まず、配布を依頼した企業様に対して、弁護士名義で書面のやり取りをするのではなく直接電話にて交渉を進めた結果、従来の請求額のおよそ半額にあたる115万円をクライアントが負担する内容で合意をしました。
次に、配布物を廃棄した従業員の対応に移りました。従業員に内容証明を送り、被った損害の満額である115万円の金額を請求する旨を書面及び口頭で交渉を進めました。
従業員個人の年齢が若く資力の問題があったため損害額の分割弁済を認めるかわりに、分割弁済を怠った場合に全額について強制執行を受けることを了承する旨の公正証書を作成することで合意しました。
そして、公証役場に弁護士と当該従業員が同席し、月々2~3万円を支払うこと、一度でも支払を怠れば即強制執行されることを了承すること、一定額を払った場合は損害額の一部を免除することを内容とする公正証書を作成しました。
最終的に当該従業員は、一度も支払を怠ることなく、全額を回収することができました。

解決のポイント

弁護士をいれずに会社から請求するとなると、従業員としては、連絡を無視するなどの対応を取る可能性があり、そうすると裁判外でのスピード解決は困難となります。
従業員が取引先に対して行った不祥事について、雇用主たる企業が取引先企業に対して支払った損害賠償の全額を従業員に請求する場合、訴訟となると一定割合まで減額されるという傾向にあります。
そこで、訴訟に持ち込ませずかつ可能な限り高額の回収を図ることのバランスを見極めながら交渉を進められるかが重要となります。
弊所では、法律論にのみとらわれず、常にクライアントの利益となることを見据えながら、その事案に対する的確な見通しをたて、交渉を有利に進める対応をすることができます。

解決するまでに要した期間

2~3ヶ月

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労務問題における弁護士の選び方

新留治 弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士執筆者:新留 治

弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士。2016年に弁護士登録以降、個人案件から上場企業間のM&A、法人破産等の法人案件まで幅広い案件に携わっている。特に、人事労務分野において、突発的な残業代請求、不当解雇によるバックペイ請求、労基署調査などの対応はもちろん、問題従業員対応、社内規程整備といった日常的な相談対応により、いかに紛争を事前に予防することに注力し、クライアントファーストのリーガルサービスの提供を行っている。

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