業種:運送業
規模:全国に拠点があり、100~200名の規模
相談者:役員と担当者
ご相談いただいた時には、すでに、数十名から残業代を請求されている状態で、請求額としては、概ね300万円から1400万円と金額にばらつきがあるものの、1人当たりの平均では、800万円程の請求がされていました。クライアントの意向として、訴訟外での早期解決を望まずに訴訟で対応することになりました。
相手方の代理人から、未払残業代の支払と残業代計算に必要な資料の開示を求める内容証明が届いたため、受任通知を出しました。
その後、開示資料などの準備を行い、相手方代理人に資料の開示を行い、相手方から開示資料に基づく、具体的な金額の未払残業代の請求の提示を受けました。
しかし、固定残業代の有効性について見解が対立し、クライアントも訴訟外での和解を望まなかったため、相手方代理人からの訴訟提起を待つ形となりました。
訴訟が進む中で、固定残業代に関する最高裁の判断が下されたため、それを前面に押し出す形で、今回の状況を当てはめて主張したところ、一人の従業員と50万円で解決することができ、これが基準となり、他の裁判においても同様の金額で、解決することができました。
クライアントには、これまできちんと固定残業代を支払ってきたという自負があり、訴訟外での和解に応じることで他の従業員からさらなる請求を受けるのではないかとの危惧を有していたため、残業代請求に対して真っ向から立ち向かうというスタンスを見せるべく、訴訟に持ち込んだ上で、最終的には、訴訟上の和解に着地させることに成功しました。
解決の大きな要因となった最高裁判例【日本ケミカル事件】ですが、固定残業代の有効要件としては、以下となります。
① 時間外労働の対価として払われていることの対価性
② 通常の給与と、残業代などが分かれていることの明確区分性
弊所では、固定残業代の制度設計を構築することができ、各会社様の方針を踏まえて、もっとも有利となる解決案をご提案することができます。
1年半から~2年 ※引き延ばす作戦を採用しておりました。
執筆者:新留 治
弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士。2016年に弁護士登録以降、個人案件から上場企業間のM&A、法人破産等の法人案件まで幅広い案件に携わっている。特に、人事労務分野において、突発的な残業代請求、不当解雇によるバックペイ請求、労基署調査などの対応はもちろん、問題従業員対応、社内規程整備といった日常的な相談対応により、いかに紛争を事前に予防することに注力し、クライアントファーストのリーガルサービスの提供を行っている。