事業承継税制の認定取消事由(贈与)

1.はじめに

 事業承継税制を活用している場合でも認定取消事由に該当していることが判明した場合には、認定が取り消されます。今回はどのような場合について認定取り消しになるか及び取るべき手続きについてお伝えしたいと思います。

2.認定取消事由の概要(贈与)

 認定取消事由に該当していることが判明した場合には、認定が取り消されます。
 認定の取消事由の概要については、下表を参照してください。

事由 必要な⼿続き
1.後継者(受贈者)が死亡した場合 随時報告
2.認定承継会社の代表者を退任した場合
(代表権を制限されたことを含みます。)
随時報告
3.雇⽤の平均8割維持要件を満たさなくなった場合 (※)
4.議決権同族過半数要件を満たさなくなった場合
(⼀部再贈与について確認を受けた場合を除きます。)
随時報告
5.同族内筆頭要件を満たさなくなった場合
(⼀部再贈与について確認を受けた場合を除きます。)
随時報告
6.認定に係る贈与により取得した株式の議決権に制限を加えた場合 随時報告
7.(持分会社の場合)後継者の議決権を制限した場合 随時報告
8.納税猶予対象株式を譲渡した場合
(⼀部再贈与について確認を受けた場合を除きます。)
(吸収分割承継会社等の株式等を配当財産とする剰余⾦の配当があった場合を含みます。)
随時報告
9.⻩⾦株を特例措置の適⽤を受ける後継者以外の者が保有した場合 随時報告
10.解散した場合 随時報告
11.上場会社・⾵俗営業会社に該当した場合 随時報告
12.資産保有型会社に該当した場合 随時報告
13.資産運⽤型会社に該当した場合 随時報告
14.総収⼊⾦額ゼロに該当した場合 随時報告
15.特定特別⼦会社が⾵俗営業会社に該当した場合 随時報告
16.年次報告書を未提出⼜は虚偽の報告等をしていた場合 随時報告
17.偽りその他不正の⼿段により認定を受けた場合 随時報告
18.資本⾦を減少した場合(⽋損填補⽬的等を除きます。) 随時報告
19.準備⾦を減少した場合(⽋損填補⽬的等を除きます。) 随時報告
20.組織変更があった場合
(認定承継会社の株式等以外の財産の交付があった場合に限ります。)
随時報告
21.再び認定承継会社の代表者になった場合 随時報告
22.先代経営者(贈与者)が死亡した場合に切替確認を受けなかった場合 随時報告
23.⾃発的な猶予の取消申請をした場合
(注︓取消申請書を提出)
24.合併により消滅した場合 合併報告
25.株式交換・株式移転により完全⼦会社となった場合 株式交換等報告

 (※)特例の認定を受けた場合は、雇用が8割を下回った場合でも認定取消とはならない代わりに、その理由について都道府県に報告を行わなければなりません。
 その報告に際し、認定経営革新等支援機関が、雇用が減少した理由について所見を記載するとともに、中小企業者が申告した雇用減少の理由が、経営悪化あるいは正当ではない理由によるものの場合は、経営の改善のための指導及び助言を受ける必要があります。

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