法務戦略構築・体制強化コンサルティング

System Enhancement

1 社内に法務機能を設けていますか?

高度に複雑化する社会において、企業活動における法務の重要性は過去に例を見ないほど高まっています。自社の業種が規制を受ける法制度の遵守、取引先との契約関係、従業員との労働契約など、法務は企業活動におけるあらゆる場面に登場するものであり、対応を誤った場合には許認可の取消し、損害賠償、労使紛争など、企業経営に重大な影響を与えることとなります。

また、昨今は予防法務や戦略法務と呼ばれる、トラブルや法令違反を未然に防ぐための法務機能や、企業の成長戦略を実現するための法務機能なども注目され、企業法務の重要性はさらに高まってきています。

他方で、2019年に東京商工会議所が公表したアンケート調査によると、契約等の内容をチェックする法務担当者について、専任担当者がいる企業は全体の8.3%、兼任担当者がいる企業は25.6%であり、法務担当者がまったくいない企業が67.2%を占めました(東京商工会議所「中小企業の法務対応に関する調査 結果報告書」2019年3月)。

このように、企業活動における法務の重要性は高まっているにもかかわらず、中小企業において社内の法務体制の構築は進んでいないのが現状です。

2 法務機能を設けないことのリスク

確かに、社外に顧問弁護士がいるのであれば、契約書のチェックや法律相談などで、ある程度の法的リスクには対処できそうです。しかしながら、日弁連が2017年に公表したデータによれば、中小企業において「相談できる弁護士がいる」割合は、約38%に過ぎませんでした。これらのデータを踏まえると、多くの中小企業においては、社内に法務担当者がおらず、相談できる弁護士もいない中で、経営者や従業員が自ら法的な判断をし、企業活動を行っていることになります。

このような状況では、いつどのようなリスクが顕在化するかわかりません。世間では、退職した多数の従業員らから何億円という残業代が請求された事例や、取引先の大企業から高額な損害賠償請求を受けた事例など、日頃から法的な観点から経営のチェックを行っておけば回避できたトラブルが多く発生しているのです。

他方で、近年は、このような法的リスク回避とは異なり、事業戦略において法務を活用する事例も出てきています。例えば、従業員のモチベーションを高める労務管理・人事制度の構築や持株会の導入、知的財産の保護と活用による収益化、法的なグレーゾーンの明確化による新事業の創出などです。

法務担当を置くこと、これが難しい場合には、少なくとも経営者を含む役員・従業員が法的な考え方を身に着けることは、上記のような法的紛争を予防し、事業を発展させていく上で極めて有効なのです。

3 経営者の心得るべきこと

ここで、2019年に経産省が公表した「経営者が法務機能を使いこなすための7つの行動指針」をご紹介しましょう。この指針は、経営者が法務機能を使いこなすことで、新事業の創出を促進するとの趣旨で作成されたものですが、事業創造に限らず、企業活動の広い場面にも妥当するものと考えられます。

①経営者は、法務部門を「事業の創造」に貢献する組織にし、その貢献が発揮される環境を整備できているか?
※法務部門は、早期に、部門の垣根を越えて、あらゆる場面に関与する必要があり、法務リテラシーを持った従業員はあらゆる部門に必要です。

②経営者は、経営戦略における法務機能の活用に対するスタンスを明確にしているか?
※経営者は、法務機能に具体的に何を期待するかを明らかにしなければなりません。

③経営者は、“経営法務”を遂行できる高度な人材を経営陣の一員、かつ、法務部門の責任者として登用しているか?
※経営法務を担う人材には、法務の機能を理解し、企業の重大なリスクを回避しつつ、併せて事業の創造を推進しこれを可能ならしめる資質を有する者を登用しなければなりません。

④経営者は、法務部門の責任者との意思疎通を密にしているか?
※経営者は、法務部門責任者と信頼関係を構築してタイムリーに相談する必要があり、法務部門の話を理解するリテラシーを有していなければなりません。

⑤経営者は、“経営法務”により得ることができた新事業の創出や企業価値増大の効果を評価しているか?
※法務部門による事業及び価値創造への貢献の状況を正しく評価し、法務部門に十分な予算を配分しなければなりません。

⑥経営者は、法的リスクを乗り越えてビジネスチャンスにつなげるため、自らの責任で合理的な経営判断ができているか?
※経営者は、十分な情報収集・検討を前提に、重大な法的リスクを回避するのみならず、リスクを除去・軽減してこれを乗り越える方策を打ち出し、的確に「事業の創造」を実現する必要があります。

⑦経営者は、“経営法務”人材の獲得・育成活用について戦略的な方針を示しているか?
※経営法務人材は、ビジネスと法務を融合したダブルの専門性が求められることから、そのような人材の獲得・育成・活用のためには戦略的な観点が必要です。

4 当事務所でできること

以上のとおり、法を遵守し、使いこなすことで、法的リスクを回避して会社を発展させていくためには、法務担当者の設置や社内の法務体制構築、社外の顧問弁護士との連携を深めることは必須となっています。

当事務所では、これまで多くのクライアント企業様と、二人三脚で法的対応に関与してする中で、法務体制の在り方についても知見を集積してまいりました。この知見に基づき、法務体制の構築を希望されるお客様に対して、無駄のない、効率的な法務体制構築コンサルティングを提供することができます。

また、社内での法務リテラシー向上のため、法務関連の社内セミナー等も多数実施しております。例えば、企業様内部での従業員向け勉強会(セクハラ・パワハラ対策、契約審査の方法、業法の知識など)や、役員向け勉強会(取締役の責任や近年の法改正など)、取引先向けセミナーなど、柔軟に対応させていただきます。

貴社の発展に向けた法務戦略構築・法務体制強化にご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

伊藤 良太 弁護士法人フォーカスクライド パートナー弁護士執筆者:伊藤 良太

弁護士法人フォーカスクライド パートナー弁護士。
中小企業の事業承継・相続対策及び資本政策を中心として、契約・労務・ガバナンス等の一般企業法務や、M&A、不動産案件も取り扱う。
事業承継については、経済産業省での執務経験も活かして、法務・税務横断的な提案を得意とし、事業と家族の双方に配慮した円滑・円満な承継に注力している。

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