知的財産等の保護に関する戦略(総論)

System Enhancement

1 はじめに

どの企業においても、「これが、わが社が他社より優れている技術である。」という技術があるのではないでしょうか。
そして、その技術は、企業が取引相手と取引を行う際、当該取引相手に開示し、利用してもらう必要が生じるものであると思われます。
このような場合に、その技術を取引相手が開示・利用の趣旨を離れて用い、又は第三者に対して流出してしまうと、企業に大きな損害が生じてしまいます。

例えば、「日本で初の●●の養殖に成功」というニュースを目にすることがあります。
養殖魚を生産している企業は、養殖魚を効率よく育てるための養殖魚の管理方法や、養殖設備に関する技術を有していることがあります。
その企業が、独力で養殖設備を製作し、養殖魚を育てることができればよいのですが、効率よく養殖業を営むために、養殖魚の管理を取引相手に業務委託する、養殖設備の制作を取引相手に発注するということがあります。

もし、その取引相手から養殖魚の管理方法や養殖設備に関する情報が流出してしまった場合、競合する第三者がその養殖設備に類似した養殖設備を製作し、養殖魚を生産する可能性があり、企業の顧客を奪うことにもなりまねません。
そのため、企業が有する技術を取引相手に開示し、利用してもらう際には、取引相手に対して技術の保護を図ってもらう必要があります。

本稿では、このような技術の保護の在り方について、ご紹介いたします。

2 「技術」について

「1」の冒頭に記載した企業の「技術」は、法的にどのように整理されるのでしょうか。

日本では、特許法、著作権法、意匠法、商標法等、企業の知的財産を保護するための法律が存在しており(以下「知的財産法」といいます)、知的財産法に基づいて一定の権利が保護される「技術」があります(本稿では、このような技術を、「知的財産」といいいます)。
また、知的財産法により保護される「技術」とまではいえないものの、企業において秘匿されている非公知の「技術」があります(本稿では、このような技術を、「ノウハウ」といいます)。

このように、企業の「技術」は、大きく分けると、知的財産とノウハウに分類されます。
なお、知的財産には、一例として、以下に記載するようなものがあり、以下に記載する法律により保護されることが想定されます。
・特殊な(技術的に高度な)構造を備えた機械:特許法
・写真、映像、キャラクター等のコンテンツ:著作権法
・商品のデザイン;意匠法
・商品・サービスの名称、ロゴ:商標法

3 知的財産の保護の在り方

知的財産を保護するためには、前提として、特許法等知的財産法所定の要件を満たす必要があります。例えば、特許技術を特許法に基づき保護する場合には、当該特許技術に係る特許権の設定登録を行う必要があります(特許法第66条第1項条)。

そして、知的財産を取引相手に開示し、利用してもらう際には、当該知的財産(権)の利用許諾契約を締結することになります。
このように、知的財産は、法律に基づく保護と、契約に基づく保護がなされることとなります。

4 ノウハウ

他方で、ノウハウは、特許法等の知的財産権に基づく保護を受けることはできません。ノウハウが不正競争防止法上の「営業秘密」(不正競争防止法第2条第6項)に該当する場合は、同法に基づく保護がなされ、同法所定の権利を行使することができますが、「営業秘密」に該当するといえるためのハードルは高いものとなっています。そのため、ノウハウは、基本的に、契約に基づく保護を行うこととなります。

5 契約書を作成することの重要性

このように、知的財産を開示し利用してもらう場合にあっても、ノウハウを開示し利用してもらう場合にあっても、取引相手と契約を締結することによりこれらの保護を行う必要があります。

このような場合は、これらの流出を防止するために十分な対策を施した契約書を作成する必要があります。なお、口頭でも契約は成立するのですが、知的財産及びノウハウの利用条件を明確にするため、契約書の作成は重要といえます。
そして、契約書を作成する場合には、取引の実態を確認したうえで、知的財産及びノウハウの保護を十分に図ることができる契約条項を検討する必要があります。

インターネットを検索すれば、ダウンロード可能な契約書のひな型(のようなもの)を入手することが可能であり、それを利用するケースもあると思われます。ただ、その契約書のひな型(のようなもの)は、企業がこれから行おうとする取引の内容を検討して作成されたものではなく乖離した内容となっており、また、むしろ知的財産及びノウハウの開示を受ける側に有利な契約書になっている可能性もあります。

万が一、契約書を作成しなかったり、契約書の内容が不十分であったりした場合、貴社の知的財産やノウハウが意図せず流出し、貴社に損害を生じさせてしまいます。よって、知的財産及びノウハウに関する契約書を作成する場合には、知的財産権及びノウハウの内容、取引の実態に照らして適切な契約書を作成することができる専門知識を有する弁護士が契約書作成に関与すべきです。

当法人では、知的財産及びノウハウが関係する取引に関する契約書を作成した経験を有する弁護士、知的財産及びノウハウに関係する紛争に係る経験を有する弁護士が所属しています。

企業の知的財産及びノウハウを保護するために、これらに関する契約書を作成したいという企業の経営者の方、現状用いている契約書の内容が知的財産及びノウハウの保護に充分であるか確認したいという企業の経営者の方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

執筆者:弁護士法人フォーカスクライド

中小企業の企業法務を中心とした真のリーガルサービスを提供するべく、2016年7月1日に代表弁護士により設立。
「何かあった時だけの弁護士」(守りだけの弁護士)ではなく、「経営パートナーとしての弁護士」(攻めの弁護士)として、予防法務のみならず、戦略法務に注力している。
また、当法人の名称に冠した「フォーカスクライド」とは、「クライアント・デマンド(クライアントの本音や真のニーズ)に常にフォーカスする(焦点を合わせる)。」という意味であり、弁護士が常にクライアントの目線で考え、行動し、クライアントの本音やニーズに焦点を合わせ続けることを意識して、真のリーガルサービスを提供している。
なお、現在では、資産税に特化した税理士法人フォーカスクライドと、M&A及び人事コンサルティングに特化した株式会社FCDアドバイザリーとともに、グループ経営を行っている。

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