不動産売買トラブルに関する解決事例

Real Estate Management

トラブル解決事例① 新築建物からの雨漏り

相談内容

沖縄県で宿泊施設を運営する会社が、同県内の工務店との間で、海沿いに新築のコテージを建てる建築請負契約を締結し、そのコテージは無事完成し、引き渡されました。ところが、引き渡しを受けてから2年後、そのコテージ1階中庭に面する廊下の天井部から水漏れが生じました。会社は、その水漏れの原因は工務店の施工不良であるとして、工務店に対し修理と損害賠償請求を求めました。

争点

建築請負契約書では、引き渡しから1年以上後に生じた瑕疵について、工務店は責任を負わないという文言が入っておりました。

この点、新築住宅に雨漏りが生じたという場合、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により「請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、(中略)雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの」の瑕疵について、契約書の期間制限にかかわらず修補及び損害賠償責任(瑕疵担保責任)を負うこととなります。問題は、①コテージが「新築住宅」にあたるといえるかということでした。また、②そもそも水漏れの原因が施工不良であるかどうかということも問題となりました。

結果

上記争点のうち、①については、契約締結時の資料から瑕疵担保責任の期間を5年間に延長するという合意を別途していたことが判明したため事なきを得ましたが、②の施工不良について工務店側は頑なに否定し続けました。そこで、弁護士が会社に水漏れの調査に長けた一級建築士を紹介し、建築士との協力のもと、実際に水漏れの原因が施工不良によるものか否かの調査をすることとなりました。その結果、外部から内部に貫かれているパイプの周囲の防水処理について不備があることが判明しました。この調査結果を工務店に突き付けたところ、工務店側でも施工不良の非を認め、建築士の指示に従った内容の防水処理を無償で実施するとともに、建築士による調査に要した費用に弁護士費用を上乗せした金額の支払いを認める内容の和解を成立させることができました。

弁護士の所感

建物から水漏れが生じた場合、注文者側としては当然施工不良が認められるだろうとお考えになるかもしれませんが、実際には、最初から施行者側で施工不良を認めることは少なく、裁判に至ったとしても単に水漏れが生じているという事実だけでは施工不良との認定がなされないことも多くあります。そのため、水漏れの原因調査を実施するとともに、当該調査結果を踏まえて、いかなる法的根拠に基づいて、どのよう修理を求めるのか、いくら損害賠償を求めるのかを的確に施工主側に伝える必要があります。

逆に施工主側としては、水漏れのクレームを受けた場合には、単に否定をするだけではなく、その原因まできちんと調査したうえで、施工不良はないことを伝えることが、紛争予防の鍵となります。

トラブル解決事例② 分譲マンションの一室の階下に居住する住民による騒音問題

相談内容

相談者は、分譲マンションの一室(以下「本件住居」といいます。)を購入し、居住を始めたのですが、本件住居には階下の住民の夜中の歌声が響き渡っていました。相談者は、夜中の歌声がうるさいとの苦情を管理会社に述べ、階下の住民に注意を行ってもらったのですが、歌声は止まりませんでした。相談者が、防音措置を講じてほしい旨管理会社を通じて求めても、拒否されていました。

相談者は、この騒音が原因で精神に変調を来し、本件住居を離れ一時的に実家に避難する事態となっていました。

争点

本件で争点となったのは、①そもそも階下の住民の夜中の歌声はどの程度の大きさであったのか及び②夜中の歌声が相談者の受忍限度を超えるものであったのか(つまり階下の住民による不法行為が成立するか)という点でした。

結果

①については、弁護士が介入する旨の通知を階下の住民に発する前に、専門業者に協力を仰ぎ、騒音レベルの測定を行ってもらいました。その結果、階下の住民が、午後10時から午前3時にかけて時より大きな歌声を発しており、本件住居にも聞こえていることが判明しました。本件住居内に響く歌声の大きさは、60デシベル程度でした。

②については、騒音トラブルに関する裁判例(東京地判平成26年3月25日判時2250号36頁等)を参照し、歌声という騒音の内容、騒音が生じている時間帯、騒音の大きさ等を考慮すれば、相談者の受忍限度を超える騒音が発生しているものとして、不法行為が成立していると主張しうると判断しました。

これをもって、階下の住民が夜中に歌声を発していること、当該歌声は、相談者の受忍限度を超えるものであることを記載し、かつ階下の住民に対して夜中に歌声を発しないよう求める通知書を送付しました。

残念ながら、階下の住民は通知書を無視し、相談者が実家から荷物等を採りに本件住居に戻った際も、夜中に歌声が聞こえる状態でした。そのため、任意に交渉することは困難であると考えられたため、騒音の差止等を求めて民事調停を申し立てました。

民事調停には階下の住民も出頭しました。調停では、調停委員の説得が功を奏し、午後10時から午前6時までの間は、一定のデシベル以上の騒音(歌声に限られません。)を出さないことを誓約する旨の調停が成立しました。階下の住民は、これに従いましたので、相談者は現在本件住居で暮らすことができています。

弁護士の所感

騒音トラブルを代表例とする隣人トラブルは、相談者のプライベートを侵食するため、相談者の心身に重大な影響を与えます。

今回のような騒音トラブルは、まず専門業者による調査を行い騒音に関する客観的な証拠を得ることが重要です。裁判では、相談者も階下の住民もお互いの主張を行うのですが、主張が食い違うことは往々にしてあります。この場合、客観的な証拠の有無が裁判の結果に大きな影響を与えることとなります(裁判では、争いのある事実については、客観的証拠が重要視されます。客観的証拠が乏しかった場合、当該争いのある事実が認められない可能性は十分にあります。)。

また、騒音トラブルは、紛争当事者の私生活に関するものであるため、感情的な要素も大きい困難な法的紛争です。そして、騒音トラブルの長期化は当事者の心身に与える影響が大きいです。そのため、交渉に応じる気配がなければ、交渉による解決にこだわらず、早々に調停等の裁判手続きを利用することが必要です。

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