契約問題における弁護士の選び方

Contractual Issues

契約書の作成や内容のチェックは弁護士として日常的な業務の一つです。もっとも、いざ契約書作成を弁護士に依頼したいと考えても、どのような基準で選べばよいか悩まれることも多くあろうかと存じます。そこで、以下では、契約書作成にあたっての弁護士の選び方についてご紹介したいと思います。

1 契約書作成業務の経験

契約書作成は、前述のとおり、企業法務を取り扱う弁護士の業務内容としては比較的一般的なものといえます。もっとも、弁護士・法律事務所でもクライアントのメインターゲットとして個人を想定しているところもあれば、企業・法人を想定しているところもあるなど様々です。そのため、必ずしも、全ての弁護士や法律事務所で日常的に契約書の作成・チェックをしているわけではありません。また、業務概要として企業法務を掲げている法律事務所でも、実際の案件比率として法人よりも個人(法人の株主・役員・従業員など法人関係者がクライアントとなるものを除きます。)が多数を占めているということもありえます。

そのため、契約書作成の依頼をご検討される場合には、依頼する弁護士・法律事務所がどの程度企業法務案件を重点的に取り扱っているかが重要なポイントとなります。この点は、ホームページなどからチェックすることも一応可能ですが、より確実な方法としては、法律事務所へのアクセスの際又は弁護士との面談の際に直接確認をするということです。そのようなことを弁護士に聞くのは失礼ではないかとお思いになるか方もおられるかもしれませんが、弁護士も世の中に多数存在する「サービス業」の一つである以上、サービスを受ける前提として提供する側の経験や経歴などを確認することは何らおかしなものではありません。

したがいまして、契約書作成業務の経験について、ご自身で納得いくまで積極的にご確認いただくとよいでしょう。

2 想像力豊かであること

契約書には、様々な種類のものが存在しますが、そのいずれにおいても共通することが、「契約(合意)内容を証拠化しておくこと」です。証拠化とは、書面として形に残しておくということに加えて、裁判でも通用するものを作成しておくことを意味します。そして、裁判でも通用するものを作成するにあたって重要なことは、紛争の原因としてどのようなことがありうるかを「想像すること」です。裁判では、自分たちの主張がすぐにそのまま認められるというものではなく、相手方から反論がなされ、当事者の双方の主張と証拠を踏まえて、裁判官が一定の心証を抱いたうえで、どちらか一方の言い分を認める判断を下します。そのため、契約書作成段階から、相手方がどのような点について争ってくるのか、相手方の主張とこちら側の主張をぶつけ合った結果、裁判官がどのような判断を下す可能性が高いか、といった事情をできるだけ正確に想像し、その想像の結果を契約書の内容に落とし込む必要があります。この想像の正確性は、単に契約書を多く作成・チェックするというだけではなく、実際に紛争に身を投じ、双方で主張・証拠を戦わせることを多く経験するなかで培われるものです。

したがいまして、契約書作成にあたっては、将来的にどのような紛争がありうるかを想像し、裁判官がどのような心証を抱くことになるかを正確に想像できる、想像力豊かな弁護士に依頼するのがよいでしょう。

3 予防にとどまらない戦略的な視点を有すること

前記1・2は、契約書の基本的な機能である紛争の予防または紛争時に有効に機能するという視点を中心としていました。しかしながら、上記視点から契約書を作成するということは、ある意味弁護士としての通常業務の域を出ません。契約書作成のために、一定のコストを支払って作成されるものとして、上記2つの視点が含まれていることはある種当然のことといえます。そして、契約書作成にあたり本当に差が出てくるのは、そこからさらに、戦略的な視点をもてるかどうかということになります。

戦略的な視点とは、契約書作成を紛争予防の「守り」の場面ではなく経営戦略における「攻め」の場面と位置づけ、弁護士がいわば経営者のパートナーとしてサポートすることを意味します。例えば、契約書記載の取引を通じて実現したいこと、契約当事者間のパワーバランスを踏まえた条項の調整、将来的な会社や事業の方向性を見据えることなどがこれに該当します。これらは、先述の紛争予防の観点からはあまり重視されるものではありませんが、ビジネスの場面では、当該契約書の内容次第で、今後取引が継続することになるのか、より事業が拡大していくかが変わる可能性を秘めています。

4 当事務所でできること

当事務所では、日々多数の顧問先会社様から契約書チェックのご相談をお受けし、これに対して、迅速かつ適切に回答をしております。その際に、当事務所でこれまで経験してきた豊富な案件実績を踏まえての予防的な視点に加え、経営判断も加味した戦略的な視点からのアドバイスにも重点を置いております。

当事務所では、経営パートナーとしての弁護士が、皆様の契約書作成にまつわるお悩みを適切かつ迅速に解決させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。

新留治 弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士執筆者:新留 治

弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士。2016年に弁護士登録以降、個人案件から上場企業間のM&A、法人破産等の法人案件まで幅広い案件に携わっている。特に、人事労務分野において、突発的な残業代請求、不当解雇によるバックペイ請求、労基署調査などの対応はもちろん、問題従業員対応、社内規程整備といった日常的な相談対応により、いかに紛争を事前に予防することに注力し、クライアントファーストのリーガルサービスの提供を行っている。

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