知財戦略構築・体制強化コンサルティング

System Enhancement

1 インターネット社会における知財戦略の重要性

インターネット社会となって久しく、企業の経営戦略を練るうえでは、インターネットを用いた広告宣伝や、インターネットを用いた商品取引を考慮することが必要不可欠となっています。そして、インターネットは、日本全国、世界全体で取引を行うことを容易にしました。そのため、需要者は、多種多様な企業に対してアクセスすることができるようになり、取引の機会は飛躍的に増大しました。そのため、企業としては、他の企業と差別化を図り、需要者に取引相手として選択してもらうことが重要となりました。

さらに、今後はAIビジネスの発展等の技術革新により、より他の企業との差別化が重要となっていくことは容易に想像できます。

企業において、特徴的な技術やデザイン等の知的財産を保有していれば、当該知的財産を用いることによって、他の企業との差別化を図ることができます。逆に、知的財産の保有に対する認識が甘く、本来ならば自社で保有できたはずの知的財産権を第三者に取得されてしまった場合、当該第三者が差別化を図り需要者が第三者と取引を行うようになってしまうほか、当該第三者から企業に対して、知的財産権侵害が主張されるおそれもあります。

そして、知的財産に対する認識が強化されつつある現状においては、経営戦略を練るうえで、知的財産を軸の一つに据えることは重要であるといえるでしょう。

本稿では、企業において適切な知財戦略を構築するために、どのような視点を持つべきであるのかご紹介いたします。

2 知財戦略は企業活動の根幹

例えば、ある企業において、これまで業界にはなかった革新的な技術を用いた新商品を開発することができたとしましょう。その新商品を開発するためには多額の費用を投下しており、企業の主軸とすることが予定されます。

この革新的な技術は、特許法所定の要件を満たすものであれば、発明に該当し、特許権の対象となります。

特許権は、発明とともに自動的に生じるものではなく、特許出願を行い特許の登録を受けなければ生じません。そのため、発明に該当する革新的な技術を保有しているにもかかわらず、特許出願を行わず放置していた場合には、同様の発明を行った第三者に特許出願され特許権を取得されてしまう可能性があります。

特許法上、特許権者には、特許権侵害者に対して、特許権侵害行為を行わないように求める権利(差止請求権)等種々の権利が認められています。そのため、企業における当該革新的な技術を用いて製造された製品を製造・販売していると、第三者から特許権侵害に基づく当該商品の製造・販売の差止等を請求される可能性があります。

万が一第三者からこのような請求がなされてしまえば、貴社は訴訟対応を行い、特許権侵害がないことを主張する必要が生じますし、敗訴した場合には当該商品の製造・販売を行うことができなくなってしまいます。

ここでは特許権を例に挙げましたが、商品のデザインに関する権利である意匠権、商品又はサービスについて使用する商標に関する権利である商標権も同様です。

コンテンツ・ビジネスを展開する企業においては、著作権の保護が重要です。著作権については特許権のような登録を行わなくとも権利が生じますが、著作権侵害者に対する差止請求権等が認められていることに変わりはありません。

このように、企業の知的財産に対する認識が甘く、登録等により知的財産を適切に保護しなければ、多額の費用が無駄になり、かつ商品の展開も困難となるおそれがあり、企業の経営戦略の根幹を揺るがす事態が生じかねません。

3 知財戦略による紛争予防及びその解決

前述したような事態が生じないようにするためには、知的財産の保護を行う必要があります。

まず、企業自身が知的財産を保有している場合には、これの権利化を図ることが重要です。知的財産の権利化は、特許庁に対する出願等専門的知識を要する行為を行う必要があり、当該知識を有する弁理士に依頼を行うことが一般的です。

そして、企業自身が知的財産を保有し、第三者に対して当該知的財産の使用又は利用を許諾する場合や、第三者が保有している知的財産の使用又は利用の許諾を受ける場合には、ライセンス契約を締結する必要があります。ライセンス契約は、契約書の作成に関する知識を有する弁護士において対応することとなります。

また、万が一紛争が生じた場合には、法的紛争の解決に関して専門的な知識を有する弁護士において、その解決を図ることとなります。

例えば、企業が製造販売していた製品につき、特許権侵害を主張された場合には、①特許権が無効であること、②企業による製品の製造販売がそもそも特許権侵害に該当しないこと、③違法な特許権侵害を行っていないこと(正当化事由が存在すること)等、事案に応じた反論を行い、特許権侵害の主張を否定することで、裁判に勝訴すべく訴訟活動を行うことになります。また、話合いによる解決として、第三者の特許権の存在を認めつつ、ライセンス契約を締結することもあります。

このように、知的財産の紛争への対応方法は複数存在しています。そして、紛争対応の結果は企業の経営戦略に大きな影響を与えるため、紛争解決後の権利状態も見越した法的アドバイスを行うことができる弁護士が対応することが必要であるといえるでしょう。

4 当事務所でできること

知的財産は、保護を疎かにすれば、企業の経営戦略の根幹が揺らいでしまいます。そのため、知的財産に関する紛争に係る経験を有する弁護士が、知的財産の保護を目的とした法的サービスを提供することは、企業が安心して経営戦略を練るうえでは必要です。

当事務所においては、特許権や意匠権等の知的財産権に関する紛争を取扱い、企業の経営戦略にとって最善の解決策を実現いたします。

そして、知的財産に関する紛争が生じないよう、企業が保有する技術やデザイン等の権利化に関するアドバイスや弁理士との協働を行います。また、第三者との間でライセンス契約を締結する場合は、当該契約書の作成、リーガルチェック等企業に有利な権利状態を実現するために必要なサービスを提供いたします。

革新的な技術を背景に経営戦略を構築している企業の経営者の方や、デザイン性のある製品の製造・販売を行っている企業の経営者の方、コンテンツ・ビジネスを展開している企業の経営者の方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

藏野 時光 弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士執筆者:藏野 時光

弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士。2017年に弁護士登録。離婚問題等個人間の法的紛争から知的財産紛争等企業間の紛争まで幅広い分野に携わっている。また、刑事事件も取り扱う。紛争に関する交渉、訴訟対応のみならず、企業間取引における契約書等の作成・リーガルチェック等、企業における日々の業務に関する法的支援も多数取り扱っている。個人、企業問わず、クライアントが目指す利益を実現するために採るべき具体的方法を検討し、リスクに関する説明も交えた丁寧な説明を心がけ、リーガルサービスを提供している。

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