問題のある従業員対応に苦しんでいませんか①(パワハラ・セクハラ編)

Labor Issues

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1. こんな問題のある従業員の対応で苦しんでいませんか?

  • パワハラを行う従業員
  • セクハラを行う従業員

パワハラやセクハラというのは、明確にこれらに該当するといえる言動から、該当するとまで断言することは難しい言動までさまざまなものがあります。そして、たとえ該当することが明らかな言動がある場合であっても、当事者だけでなくこれにあたる担当者にとっても、非常にストレスがかかるうえに、本来の業務にも影響が及ぶ可能性さえあります。
ここでは、そもそもどのような行為がパワハラ、セクハラに該当し、当該言動が発見された場合に会社はどのように対応する必要があるかについてご紹介します。

2. パワハラとは?パワハラに該当する行為とは?

パワハラ(パワーハラスメント)は、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義付けされています(職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言(平成24年3月15日 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議))。そして、このパワハラと呼ばれる行為を分類するにあたり、以下の6つの類型が参考として示されています。

①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

上記行為類型のうち、①については、たとえ業務の遂行に関係するものであっても、「業務の適正な範囲」に含まれるとすることはできないということでパワハラに該当するとされています。次に、②と③については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定できないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものとしてパワハラに該当すると考えられています。一方、④から⑥までについては、業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でない場合があることから、一概にパワハラであると断定することは困難と考えられます。

 

→パワハラを行なう社員について詳しくはこちらをご覧ください。

3. セクハラとは?セクハラに該当する行為とは?

セクハラ(セクシュアルハラスメント)は、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」(男女雇用機会均等法第11条1項)、「他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」(人事院規則10-10第2条1号)などと定義されています。

上記定義のうち、「性的な言動」には、例えば、性的な「発言」として、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報や噂を話すことなどが挙げられます。また、食事やデートを執拗に誘うこともこれにあたるとされています。性的な「行動」として、性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、ヌード写真等を配布・掲示することなどが挙げられます。また、性別の役割分担意識に基づく言動、たとえば、「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」などと発言することも、上記人事院規則10-10によるとセクハラに該当するとされています。

具体例としては、上記のとおりですが、最終的にセクハラに該当するかどうかの最も大きな要素は、受け手たる相手方がどのように受け止めるかにあります。そして、この相手方の受け止め方についても、相手方が拒否をしなかったことをもって、セクハラに該当しないとも言い難く、たとえその当時に合意が存在したとしても、相手方が後にセクハラ被害であると訴えた場合には、セクハラに該当するという可能性もありえます。

 

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4. パワハラ被害・セクハラ被害を確認した場合の会社対応について

会社がパワハラ、セクハラに該当しうる行為を発見した場合の初動対応としては、虚心坦懐に当事者の話を聞くことです。被害者側を過度に保護せず、加害者側を過度に非難せず、ただ、当事者の話す内容を聴取し、書面として残しておくことが重要です。特に、パワハラの場合は、他の従業員の面前で行われることが比較的多く、上司と部下の人間関係を同じ職場の第三者が把握していることが多いため、関係者への聴取は重要となります。

聴取の結果、パワハラ・セクハラに該当する行為が確認できた場合、加害者側の配置転換・懲戒処分などの対応が考えられます。懲戒処分を検討する際、セクハラは、本来職場に持ち込むべきでない言動を持ち込んだということで、比較的重い処分が許容される一方、パワハラは、業務上の注意・指導の延長として行き過ぎてしまったというケースが多く、懲戒処分をすべきか否か、どの程度重い処分であれば許容されるかどうかの判断に窮することが多くあります。

5. パワハラ・セクハラに起因する会社のリスク

パワハラ・セクハラの加害者は、当然、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を受けることになりますが、会社も、被害者から使用者責任(民法715条)や安全配慮義務違反としての債務不履行責任(民法415条)を追及され、損害賠償をしなければならない場合があります。

また、被害発生後の対応次第で他の従業員の業務に対するモチベーションへの影響や、報道・SNSによる拡散等により対外的な非難を受けるというリスクも存在します。

 

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6. 当事務所でできること

パワハラ・セクハラ問題は、その該当性判断もさることながら、被害者側の思いの強さゆえに、その対応に窮する場面が多くあります。会社としては、日頃からパワハラ・セクハラ行為が行われた場合の対応・指針の明確化と周知・啓発、相談窓口の設置と対応などの予防措置をとりながら、問題の発生後に即座に対応するための組織づくりが重要となります。そして、問題発生後も可能な限り法的紛争に発展する前に、迅速な調査・処分を実施することが重要となります。

当事務所では、日々クライアントの企業様からパワハラ・セクハラ等の従業員トラブルのご相談をお受けし、これに対し、迅速に助言を差し上げ、紛争を極力回避することを重視しています。また、当事務所では、パワハラ・セクハラ問題の回避するための制度設計に関しても、対応をさせていただいております。

実際に問題が起こっている企業様も、今度どのような組織づくりをしようかと検討されている企業様も、お気軽にご相談ください。

新留治 弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士執筆者:新留 治

弁護士法人フォーカスクライド アソシエイト弁護士。2016年に弁護士登録以降、個人案件から上場企業間のM&A、法人破産等の法人案件まで幅広い案件に携わっている。特に、人事労務分野において、突発的な残業代請求、不当解雇によるバックペイ請求、労基署調査などの対応はもちろん、問題従業員対応、社内規程整備といった日常的な相談対応により、いかに紛争を事前に予防することに注力し、クライアントファーストのリーガルサービスの提供を行っている。

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