ホールディングス化を通じて得られる価値と進め方

Tax

1.ホールディングスカンパニーとは

複数の法人を傘下に持っている法人をいい、グループ全体の戦略や経営方針の立案、管理を行います。

2.ホールディング化に適している法人

  • 複数事業を営んでいる法人
  • 関連会社が複数存在する法人
  • 複数の事業拠点を有する法人
  • M&Aにより、事業拡大を検討している法人

3.ホールディングの運用例

  • 投資機能(資産保有)は、ホールディングスカンパニーに集約
  • 管理機能の役割分担はホールディングスカンパニーに集約
  • 経営戦略・事業戦略の役割分担は、ホールディングスカンパニーに集約
  • 資金調達機能をホールディングスカンパニーに集約
  • 子会社は、各種事情に専念することができる。

4.ホールディングス化のメリット

①経営の効率化ができ、金融業務の集約により、ファイナスコストの抑制が可能となる。
②事業ごとの採算性管理に寄与でき、事業会社別の損益・資金繰り管理が可能となる。
③グループ会社間での対抗意識(競争意識)が芽生える。
④グループ会社の理念統一を図ることができる。
⑤M&Aに適した資本政策など、新規買収・新規事業の立上、子会社売却のスピードアップ化が容易になる。
⑥適材適地の人事戦略を描くことができる。
⑦事業リスクの分散が可能になる。

5.税務の視点からのホールディングス化メリット

①株価の上昇を抑制することができる
ホールディングス化することで、相続税評価額の計算をする上では、含み益に法人税率を掛け合わせた額が控除されることになるので、利益の蓄積による株価の上昇が抑制されます。株式評価では、純資産価額算定上、含み益に対する37%控除が適用されるため、株式上昇が約3分の2に抑制されます。

②グループ法人税制の適用
グループ法人税制は、100%の資本関係にある国内法人間で行われる一定の資産譲渡、寄附、配当、株式の発行法人への譲渡等につき、税務上は損益を認識しない仕組みです。これにより、グループ間のモノや資金の移動に法人税が課税されないこととなる。以下がその具体的制度となります。

(ア)適格現物分配制度
(イ)受取配当等の益金不算入制度
(ウ)受贈益の益金不算入制度

6.ホールディングス化のデメリット

①ホールディングス化を行う際に、組織再編を採用する場合に、おいて、非適格組織再編に該当するときは、法人税課税が生じる
②株式を売買により移転する場合には、集約に多額の買収資金や売却にかかくぁる税金が生じる可能性がある
③ホールディングス化の実行にかかくぁる、法務・税務・会計に関わる手続き及びコストが生じる
④法人住民税の均等割り額が増加する可能性
⑤ホールディングスカンパニーが生じることにより、管理手続き及びコストが生じる

7.弁護士・税理士に相談すべき理由

ホールディングス化をするための、手法など、1番これが良いという一律の回答はありません。企業や株主ごとに取り巻く状況はことなるため、書く企業ごとに適切な方法を検討する必要があります。特に、ホールディングス化を行うためには、コストが生じますので、事前の検討は必須です。そのため、客観的な視点を持ち、中立的な立場である、弁護士や税理士にご相談ください。

髙橋 大貴 税理士法人フォーカスクライド 代表弁護士執筆者:髙橋 大貴

税理士法人フォーカスクライド 代表税理士
2014年に税理士登録以降、個人・法人問わず、クライアントの大切な資産の移転・承継・活用に係る税分野(資産税)に特化した業務を提供する。
当税理士法人では資産税の業務を遂行するためには、高度な税務知識だけでなく、お客様の真のニーズを汲み取るコミュニケーション能力が必要不可欠と考え、お客様とのやりとりは必ず税理士が対応している。
さらに、税務の観点のみの偏った提案とならないように、グループ内の弁護士法人フォーカスクライドの弁護士をはじめとして、各専門家と一体となり、各専門領域の知見から、お客様の想いを実現している。

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